「みなさん、こんばんは!“Golden Circle”へようこそ!」  主宰者である寺岡呼人のにこやかな声からライブはスタートした。 「今日はこの日のために曲を作ってきました」  
その曲を披露するため、早速、出演者がステージに勢揃いした。
10月25日、『Golden Circle Vol.16 “ジュンスカ×ユニコーン”』はこうしてスタートした。  
森純太のギターが気炎を上げ、3人のドラマー(小林雅之 from ジュン・スカイウォーカーズ、川西幸一 from ユニコーン、山戸ゆう from 子供ばんど)による地響きのようなビートに乗って、「ROCK’N ROLL TRAIN」は走り出した。親しみやすいメロディと、各バンドの精鋭たちそれぞれのギターソロが武道館を一気に高揚させる。そしてバンドマンたちはアッという間に退場した。
16回目にして初の対バン形式による“Golden Circle”、武道館はザワザワとドキドキと期待感に溢れていた。  

この日のオープニングアクトは、寺岡から「独特の声と歌詞」を評価され抜擢された、OverTheDogsが務める。 なんと翌日メジャーデビューを控えているという彼らは初々しい姿で武道館のステージに立ち、けれどつぶやくように意味深で印象深い演奏を聴かせていく。「ずっと続けていってなんぼだと思っているので、あの人たち(=本日出演する先輩方)が80歳になっても、また一緒にやりたいです」と、「本当の未来は」へとつなげた。  

幕間に、再び寺岡が登場。自らが所属するバンドを「どうぞごひいきに!」と紹介した。  

ジュン・スカイウォーカーズ、晴れやかにライブが始まる。  宮田和弥は当時のトレードマークであったロンTではなく、白い襟付きシャツで「歩いていこう」を歌う。けれどモニターに片足を置き、目をひんむいて、強いフックをかけるような歌い方は健在。観客の「オイッ! オイッ!」のかけ声に、森純太は腕をぐるぐる回し、当時のスタイルで応える。

まるでタイムマシンのような……と思ったのもつかの間、宮田はこんなことを喋りだす。
「最近、目が悪くなってきて、近くの物が見えないんだけど、(遠くにいる)みんなの顔がよく見えます!(笑)」 自虐ネタも彼らしいサービス精神か。しかしよく喋る。トータルでこの日は40分押したのだが、どうやら原因はここらしい。
そんな心配をよそに、宮田はステージに奥田民生と阿部義晴を呼び込む。「武道館の夜に捧げます!」と、「すてきな夜空」へ。
♪ふ〜たり〜で〜……の導入部分を阿部が歌う、「行くぜ武道館!ワンツースリーフォー!」はもちろん寺岡、奥田はギターで参加。  さらに嬉しい報告も。2012年、ジュンスカは完全復活を果たし、ベストアルバム、ライブツアーに加え、4月にはオリジナル・ニューアルバムもリリースされるそうだ。

宮田が“新たな夜明けの歌”と紹介したのは新曲「シンフォニー」。スケールをグッと広げながらも、ジュンスカのキラキラした輝きが再生されるかのような楽曲。貫禄とは無縁の、今もポップなバンドでいてくれることが何とも頼もしい。
「デビューして23年が経ちました。いろんなことがあって、日本もずいぶん変わりました。未来が見えづらい、希望を持ちづらいけど、オレは音楽でつないでいきたい。23年前の青臭い自分の真っ直ぐさ、がむしゃらさが実はこの時代に必要なんじゃないかと思ってます。僕たちの始まりの歌です」  デビューを飾った「全部このままで」では当時と現在の映像がシンクロ。定番曲「MY GENERATION」でステージは終わった。  

幕間。興奮の余韻に包まれながら、演奏を終えたばかりの主宰者が次のバンドを紹介する。「特別な絆を感じる、盟友でもあり戦友でもある」ユニコーン。

  (おそらくジュンスカにちなみ)「スカイ・ハイ」をBGMに揃いのつなぎで登場したユニコーン。未だ少年性を残すジュンスカに対し、余裕を醸したイケナイ大人の雰囲気。あいさつ代わりの「頼みたいぜ」を投下し阿部が歌う「WAO!」へ。歌いながら「ジュンスカ!」とやたら叫ぶ。たしかな演奏力と俊敏なアドリブ力で今夜もお届けしています。「さらばビッチ」では、川西幸一とEBIがラップ、奥田がドラム、手島いさむがキーボード、阿部がギター……と、立ち位置や楽器がめまぐるしく変わる。新しいユニコーンをどんどん見せていく。
「本日は“Golden Circle”にお呼びいただいて誠にありがとうございます! 宮田が喋りすぎたんで時間が押してます。そういう意味でも懐かしいです(笑)」と、奥田。  

ジュンスカの4人を呼び、ユニコーンの“ジュンスカっぽい曲”「SAMURAI 5」を一緒に歌う。手には赤青黄のフラッグを持ち、観客を巻き込んで盛り上がる。お約束の「あなたのスピード、ほにゃららら」もジュンスカのメンバーに振り(大喜利か?)、最後は奥田の「あなたのスピード、サタデナーイ?」改め、この日は火曜だったので「あなたのスピード、チュズデナーイ?」でひとまずのエンディングを迎えた(このくだりも長かった!)。
ジュンスカを送り、すべてを吹っ切るように「では、次っ!」と「ヒゲとボイン」から、ラストは「晴天ナリ」。ツアーが終わったばかりのユニコーン、緩急自由自在のチームワークを発揮した。

幕間。寺岡と森が登場。寺岡はとうとうこの瞬間が来たとばかりに、「(僕たちの)先駆けのようなバンドを“Golden Circle”に呼べることがとても光栄です」と、どこか緊張した様子。森は「高校のときに衝撃を受けました」と、自らのルーツであることを語った。2人声を合わせて、「WE LOVE 子供ばんど!」と紹介した。

満を持して、子供ばんどが登場。いきなり、うじきつよしの雄叫びのような歌が武道館を支配する。
「はじめして、“Golden Circle”!」23年ぶりに再結成したものの今回が6回目のライブであると話す、うじき。観客のほとんどが自分たちのライブを初めて観ているであろうことの不安と興奮がバンドを奮い立たせ、奥田民生プロデュースによる新曲「マンモスの唄」を嬉々として演奏する姿が印象的だった。
♪エブリバッディ、みんなで、おっどろっじゃないかっ! 「踊ろじゃないか」では、「いかした息子たちにエール」をと、トーキングブルースさながらにメロディに乗せてこの日の感想やら感謝やら思いの丈をぶつけ、ステージを走り回った。

アンコールでは出演者全員が再びステージに集まり、「サマータイムブルース」を。ドラムを除く全員がギターもしくはベースを持ってステージに一直線に並ぶ光景は圧巻。歌い、弾き、叩き、走り、跳び、笑い、叫び、16回目の“Golden Circle”初日は予定より40分押しで大団円を迎えたのだった。  

さて、26日。2日目にして千秋楽。  
前日の反省(時間が押したこと)を踏まえ、プログラムが少々変更されていた。寺岡はまず、オープニングアクトとして、「60年代のテイストもあって、今の音を出す」OKAMOTO’Sを紹介した。  

人生初、武道館のステージに立つという、平均年齢20歳のOKAMOTO’S。 「今日はロックレジェンドがいっぱい出てるイベントに呼んでもらえて嬉しいです!」と、オカモトショウ。
「笑って笑って」「恋をしようよ」「欲望を叫べ!!!」と、猛スピードで駆け抜けたが、最初は面食らい気味だった観客の拍手が、1曲終わるごとに増えていったことを彼らは実感できただろうか。そのくらいアッという間に彼らのステージは終わってしまった。  

ジュン・スカイウォーカーズ。 「昨日は喋りすぎちゃって、時間が押しちゃいました。もう40歳を過ぎたから、みんなに迷惑かけないようにします!」  
と、宮田の反省の弁。やや神妙な面持ち。しかし、「歩いていこう」「START」と、武道館の空気をすべて我が物にしたころにはすっかり本調子へ。ジュンスカ完全復活の告知、リリースはベスト盤だけではないのだという意味合いで「昔の曲で食いつないでるのか、と(思われたくない)」と言いかけたところに、観客の1人から「(昔の曲だけでも)いいよ?!」と声が飛んだ瞬間、いや、違う、と。「みんなのやさしさがオレたちをダメにする。これからもビシビシご指導お願いします!」とキッパリ言い切って、新曲「シンフォニー」へつなげたのだった。「僕らとの夜明け、みんなとの始まり、2012年の日本の夜明けの歌」と紹介し、その並々ならぬ決意を見せた。  

ユニコーン。  
むやみやたらと「イェイ!」や「ヒャッホー!」を連発してる。気合いを入れていたのか、「ハロー武道館、よろしく頼むぜ!」と軽快かつ強力に「頼みたいぜ」からスタート。
「あ、ジュンスカおめでとうございますね、復活ね」なんてフレーズを阿部が歌の中にスルッと挟みつつ、この日のユニコーンのステージは全体的にジュンスカ(改めスカイさん)復活祝賀ムード。「SAMURAI 5」での「あなたのスピード、ほにゃららら」は「スカイのMC、長くな?い?」で決まり。武道館全体から責め立てられたスカイさんは苦笑い、でも実に嬉しそうだった。  
その他、奥田の饒舌な声を分厚い音像が幾重にも深めていく「HELLO」、爆音の洪水を凄まじいスピードで泳ぐ「大迷惑」など、前日とは違うメニューで、さらなる真骨頂を見せたユニコーンだった。  

子供ばんどもセットリストを一新、うじきはおなじみのあの姿、スピーカーを載せた黄色いヘルメットを被り、子供ばんどロゴのマントをひるがえしながら客席から登場、満面の笑顔で「I’M SO HAPPY」を歌った。ファーストアルバム所収の「頑張れ子供ばんど」、新曲「マンモスの唄」、ものすごい声量と早口のMC、メンバーそれぞれがプレイとコスチュームで派手な自己主張をしつつ、くるくるとロックンロールに巻き込まれた武道館には新たな渦ができていた。奥田、宮田、森、寺岡らも加わり、大セッションへとなだれ込み、その勢いのまま、アンコールを迎えた。  

出演者全員で、「ROCK’N ROLL TRAIN」、そして「サマータイムブルース」を演奏。  
三世代のバンドが見事に揃い、書き下ろされた新曲と、往年のスタンダードロックナンバーを奏でる場面は、日本のロックの歴史を飾る一幕となった。けれどその写真を大事に箱にしまっておくのではなく、未来への手紙と一緒に誰かの手に届けたい。スタート、スタート、これから始まる……、あの歌ももしかしたら今日という日に届けられた、希望からの手紙だったのかもしれない。  なんて、ロマンチックな気分にいつまでも浸っていたかったけれど、この日はちゃんと予定どおりに終演。  

最後に寺岡が、今回のために新曲を作った経緯を話す。 「懐かしい曲をみんなでやろうかって案もあったんだけど、新しい曲を作ろう、と。2011年の僕らの姿を見せることが誠意を持った“Golden Circle”だと思います。未来に向かって走り続けます。よかったら、みんなも一緒に走り続けましょう!」  

力強い約束を交わして、16回目の“Golden Circle”は幕を閉じた。

(森田恭子)

Title : Golden Circle
2010/10/20 Release
TFCC-86336 定価:3000円(TAX IN)